3. 超軽量展開構造物の大型化と構造特性に関する研究

インフレータブル構造は、内圧の付与により構造物として成立させるので、圧力の増減やそれに伴う形状の変化が構造特性に影響を与えます。また、大型化した際の状態を適切な方法で把握する必要があります。本研究では、円筒状のインフレータブル構造をもとに、それを多数組み合わせて構造物を構築するための技術を確立します。宇宙用大型構造物の基本的な部材として重要なインフレータブルチューブは、折り畳んで収納するため、表面には折り目が設けられており、また内圧の低下や力の与え方により局所的な皺や不整合が生じます。そこで、これらがインフレータブルチューブの固有振動数に与える影響について、MD NastranやABAQUSを用いた非線形解析と振動実験から明らかにすることを目指します。また,構造物に何らかの損傷や異常が生じたときに、それらの状態をいち早く検出し、修復を行うヘルスモニタリング技術は建築や自動車等、様々な分野に広く用いられています。ここでは、ピエゾフィルムという圧電素子センサを用いて、モニタリング技術を超軽量宇宙構造物(インフレータブル構造物)に適用し、制御、監視を行うための初期段階として必要なヘルスモニタリングの方法について研究を行っています。

2012年度卒業研究]
研究テーマ:ポリイミドフィルム製インフレータブルチューブの強度評価

ジョイントで結合されたインフレータブルチューブを展開する際、展開時における変形などによりジョイント部に力が付加される場合があります。また、インフレータブルチューブは内圧により曲げ応力が付加された場合の変形が異なります。そこで本研究では、小型ジョイントで結合した立体構造物の内圧と強度の関係を、ABAQUSを用いた有限要素解析と実験から明らかすることを目指します。

2012年度卒業研究]
研究テーマ:圧電センサを用いた膜構造物におけるヘルスモニタリング

ポリイミドフィルムで作った長方形の膜構造に対して、その中の一部分が損傷をうけた場合に、その場所をピエゾフィルムセンサで検出する方法を実験で明らかにします。実験では、実験の精度を向上させるため折り目のないインフレータブルチューブを使用し、検出に必要なセンサの適切な配置法を明らかにします。また、MD Nastranによる非線形有限要素解析から、実験と解析の比較を行い、センサの配置法の妥当性を評価します。