1. インフレータブル構造を応用した超軽量な惑星探査ローバーに関する研究

JAXA
宇宙科学研究所と共同で、膜構造技術を応用して月面や火星を走行する超軽量なローバーの研究開発を行っています。ここで想定しているのは、これまでのような数十kgから数百kgのローバーとは異なり、わずか1kg程度で作ります。そのため、ホイールにも走行に必要なサイズを維持しながら軽量化が求められてきます。未来のローバーは、風船が転がるように走行して行きます。

2012年度修士研究]

研究テーマ:軟質⼟壌⾛⾏時におけるインフレータブルローバーの⾛⾏性能に関する研究


ロケットの打ち上げ能力には制限があるので、できるだけコンパクトかつ軽量なローバーが望まれています。一般的には金属製である大きなホイールに対して、インフレータブル構造技術を採用することによって、超軽量で高い収納性を有するホイールを目指します。さらに、ホイールがエアバッグとしての衝撃吸収性を兼ね備え、着地時や探査中に落下した場合などによるローバーの故障を防ぐような研究しています。

2012年度卒業研究]
研究テーマ:PEEKを使用した球状ホイールの製作方法の確立とそのホイールの走行性能の向上と評価

立体成型された樹脂フィルムからローバーホイールを構成する方法を検討します。フィルム材の接着や溶着によりホイールとして要求される気密性が保持できる方法を解明し、樹脂フィルムを使用したホイールの構成法の確立を目指します。また、月面ローバー用ホイールを対象に、走行時のすべり低減方法を検討し、試作した樹脂フィルム製ホイールによる実験で評価することで、走行性能の向上を図ります。

2012年度卒業研究]
研究テーマ:PEEK膜材を使用したローバーホイールの着地時衝撃力の評価と耐衝撃性能の向上

樹脂フィルムを使って構成するホイールを有する月面探査ローバーを対象に、月面を想定した地面への着地時の衝撃に対する耐久性の検証を行います。ローバー本体は質量・寸法・取り付け部インターフェース条件を模擬したマスダミーとし、着地時にはインフレータブル式のホイールで衝撃力を吸収する構成です。加速度センサーを取り付けた状態で落下実験を行い、耐衝撃性能を評価すると共に、衝撃力を低減する方法の解明を目指します。