エレキソ

素朴で根本的な「問い」に促されて考えながら自然に学んでいけるように工夫をしました。次の二つのコンテンツから構成されています。

1.エレクトロニクスの基礎(キソ)を学ぶ前に. . . −楽しく安全に電子回路をつくるために−
2.エレクトロニクスの基礎(キソ)を学ぶ −LEDで学ぶエレキソ−

工学部の中でも学科により、エレクトロニクスに関することを学ぶ機会の多寡は異なるようです。それでも、ものづくり活動や実験授業、あるいは卒業研究などでエレクトロニクスの知識が必要になることが少なくありません。また、弱電系とはいえリチウムイオン電池を使う機会も増え、比較的大きな電流を扱うことも多くなってきたので、これらを安全に扱うための知識と理解も大切になってきています。そこで、初学者を対象に、高校の復習を兼ねながら、最低限のエレクトロニクスの素養を身につける方法を考えてみました。
エレクトロニクスの基礎で略称はエレキソです。ベースになったのは、学部1年生を対象にした初年次向けの授業です。これは、全体での講義が1回、グループで行う授業が2回なので、この授業だけでは基礎とはいえまとまった内容を扱うことはできません。それでもグループの授業では、ひとり1セットの教材を用意し、授業の中で実際にブレッドボードに回路を組みながら、体験を通して印象に残りやすくなるようにしています。
高学年になると、ブレッドボードで回路を組み、マイコンボードに自分で作成したプログラムを書き込んで計測や制御を行う実験授業があります。しかしこのエレキソでは、マイコンは使わずに、抵抗、コンデンサ、トランジスタといった基本的な電子部品で簡単なアナログ回路を組むという体験をしてもらいます。初めてブレッドボードを使う人が多いので、まずはブレッドボードの使い方や部品の調べ方、値の読み方に慣れるところから始めます。目で見て動作がわかったほうが良いので、LED(発光ダイオード)を点灯や点滅させることにしました。
以下に、その教材のスライドを公開しますので、授業の後の復習や自学自習などでもご利用ください。学外の方もダウンロードしてご覧いただけます。


1.エレキソの前に(1回の全体講義の内容です)
エレクトロニクスの基礎(キソ)を学ぶ前に. . . −楽しく安全に電子回路をつくるために−

  • オームの法則を使って抵抗について基本的なことを復習します。
  • テスターで抵抗を測るということの原理を理解します。
  • 電池の種類と内部抵抗について理解します。
  • 二次電池(蓄電池)の種類と取り扱いで気をつけることを理解します。
  • エレクトロニクスの回路を組む際の配線における基本的なことを確認します。
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エレクトロニクスの基礎(キソ)を学ぶ前に. . . −楽しく安全に電子回路をつくるために−
エレキソの前に20180505_ウェブサイト公開用.pdf
PDFファイル 9.6 MB

2.エレキソ(グループで行う2回分の授業の内容です)
エレクトロニクスの基礎(キソ)を学ぶ −LEDで学ぶエレキソ−

  • ブレッドボードの使い方を学びます。
  • 電球とLEDの使い方の違いを通して半導体について理解します。
  • 電流値を決めるための抵抗の選び方を理解し安全についての自覚を持ちます。
  • 複数のLEDを点灯させる方法の違いを比べてメリットとデメリットを理解します。
  • コンデンサの充電と放電について体験しながらを理解します。
  • トランジスタを電子的なスイッチとして使用したLEDの点滅回路を例に、回路図を見ながらブレッドボードに確実に回路が組める方法を修得します。
  • LEDの点滅回路、つまり無安定マルチバイブレータの動作原理を理解します。
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エレクトロニクスの基礎(キソ)を学ぶ −LEDで学ぶエレキソ−
エレキソ20180505_ウェブサイト公開用.pdf
PDFファイル 9.1 MB
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エレキソの素
上の資料に掲載している回路を作る際の初心向けの参考資料です。
エレキソの素.pdf
PDFファイル 913.3 KB

「回路図を見ながらブレッドボードに回路を組む」実演を動画で紹介します。

とてもお手本と言えるようなレベルではありませんが、このような感じで確実に作業をしていくのだということを読み取ってください。ポイントはスライドの中でも書きましたが、あとで確認をしなくても良いくらいに正確な作業をする方法を自分なりに確立することです。「だろう..だろう..」で進めていって、最後に確認しながら直していくというのでは非効率すぎるし、配線が多くなると見落としも生じかねません。適当に組んでとりあえず通電してうま行けばOK、ダメだったら確認しながらミスを見つけるたびに直しながらうまくいくまで繰り返す(要するにトライアル&エラー)という方法は避けるべきです。なぜなら、そういう方法を行っていると、時間がかかるだけでなく、部品を壊してしまう(ショートなどで)ことがあり、そうなるともはや部品が壊れてしまったのか、配線を間違えているのか区別ができなくなってしまいます。[2018年5月5日]