角田博明著「書きやすく相手に伝わる実験レポートの作成法: 正確に素早くきれいに書きあげるには?」(電子書籍、Kindle版)むしかご書房(2019年12月7日刊行)


  • フォーマット: Kindle版
  • ファイルサイズ: 18829 KB
  • 推定ページ数: 173 ページ
  • 出版社: むしかご書房; 1版 (2019/12/7)、

URL: https://mushikago-shobo.jimdosite.com/

  • 販売: Amazon Services International, Inc.
  • 価格:500円(税込)
  • ASIN: B082GZV71V

電子書籍の特徴

  • 普段使っているパソコンやタブレット、スマホにKindleアプリ(無料)をインストールしてお読みいただけます。(電子書籍の購入にはAmazonのアカウントが必要です。)
  • 質量も寸法もゼロで嵩張らないし落として失くすことがありません。
  • パソコンやスマホを買い替えても引き続き使えます。
  • 手許に辞書がなくても知らない言葉をすぐに調べられます。
  • 読後うろ覚えでも検索機能で調べたい用語が出ている場所にすぐジャンプできます。
  • ラインマーカーやメモは記入だけではなく消すこともできます。


本書の特徴
本書は電子書籍のみのため、500円(税込)という安価での出版が実現できました。また、図表はスマホの画面でも楽に見ることができるサイズにしてあります。これ一冊で理工系の大学生が、実験授業のレポートや卒業論文のみならず、将来社会で通用する技術レポートを書くスキルを身につけられます。実験レポートの作成法を本書で学び、将来社会に出た時に、技術者として仲間やクライアントとの間で必須となる、文書によるコミュニケーションのスキルを身につけてください。

目次

はじめに
第1章 実験レポートに求められること −これからやることの全体像を把握し目標を定める−
 1.1 実験レポートって何?
 1.2 実験レポートを書くことで目指すもの


第2章 授業中におこなう実験レポートの準備(STEP 1:段取り)
 2.1 実験中の記録を確実にとる
 2.2 実験の構成にストーリー性を持たせる
 2.3 実験レポートの完成形をイメージする


第3章 実験レポートを書くための手順(STEP 2:レポート作成)
 3.1 効率良く書くための準備
 3.2 実験で得られたデータの扱い方
 3.3 実験データを分析して考察をまとめる
 3.4 実験方法を図で説明する
 3.5 パラグラフ・ライティングで文章の作成をスピードアップ
 3.6 図に工夫を加えてわかりやすくする


第4章 完成度をあげるための仕上げ(STEP 3:ブラッシュアップ)
 4.1 内容に関する推敲
 4.2 形式に関する推敲


第5章 快適に書くためのテクニック
 5.1 インターネット上の情報や文献の利用のしかた
 5.2 使い慣れたパソコンで能率をあげる
 5.3 実験レポートにおける文章と図表のレイアウト
 5.4 参考文献の書き方


付録 実験レポートの文章作成で参考になる書籍
おわりに

執筆を振り返って
近年急速に増えてきた電子書籍は、本のあり方を大きく変えようとしている。紙の書籍がいいか、電子書籍がいいか、という議論を時々目にするが、そもそも両方で出版されていて読者が選べるという本は限られている。専門書あるいはややマイナーなジャンルの本のほとんどは、紙の本か電子書籍のどちらかだけでしか出版されていない。しかし、出版に関わるコストや時間(本をつくる側の視点)を考えると、今後は電子書籍へと移行していくのは避けられそうもない。また、タブレット端末や電子書籍アプリの普及により、読みやすさや持ち運びのしやすさ(読者の視点)を考えると、もう電子書籍から紙の書籍には戻れない。


電子書籍ならではの特長の一つに、リフロー型というページの概念を無くした形式がある。パソコンやタブレットなど読書をする端末で文字のサイズが変えられるので、端末の画面で文字を大きく設定すると快適に読書ができる。その一方で、図表は表示される大きさが変わらないので、自ずと端末の画面サイズで規定されてしまう。また、文章を読みながらあちこちの図を比べて見るというのも難しく、文章に続いて関連する図を見るというレイアウトが基本になる。しかし、このような欠点は多少の工夫をすることで軽減することができる。本書の場合では、図表はスマホの画面サイズでも十分に見ることができるように(おすすめはタブレットだが)、なるべくシンプルにまた文字も大きめにした。さらに図の細かな説明を文章で行わないようにして、図は「見ればわかる」ように、文章は「それだけを読めばわかる」ようにした。つまり、電子書籍に適したコンテンツになるような作り込みを行った。


リフロー型は、文章が主体の小説や解説本では一般的だが、理系の専門書ではまだあまり多くない。しかし、専門書は大きく嵩張る書籍が多いので、うまく電子書籍がつくれれば、若い人の「学びのサポート」としてその効果は計り知れない。本書は、そのような「実験的な試み」を、大学の一教員が細々と行ってきた結果であり、それがたまたま「実験レポートの作成法」の本だった。かなりの時間や労力を注ぎ込んで完成に漕ぎつけたが、「実験的な試み」の楽しさは十分に味わうことができた。本書を手にとっていただいた学生の方々が、適切な実験レポートを効率よく作成するためのスキルを獲得し、将来社会に出てからも技術者として活躍されることを願っている。

(2020年2月15日)