2. 和紙を使ったインフレータブルホイールに関する研究

宇宙の真空や放射線・紫外線に晒された環境では、ほとんどの有機系の材料は劣化して使用が困難です。一方、前述したような折り畳める袋状の構造物を実現しようとすると、薄い膜材料を使わなければならず、適切な材料選定が課題でした。日本の伝統技術である紙漉でつくる和紙はセルロースが主体で、これをうまく使えば、宇宙環境で使用可能なローバーのホイールが作れます。幸いに月面であれば、重力は地球の6分の1なので、最新の小型軽量化されたセンサーやエレクトロニクス機器と組み合わせると、和紙を使ったホイールの実現性が見えてきます。

2014年度卒業研究]
研究テーマ:和紙を使ったインフレータブルホイールの展開方法


月面または火星などを走行するローバーのインフレータブルホイールに使用する材料に、紙漉技術を応用した膜材を使用し、内圧が失われても走行可能なホイールの実現を目指します。材料の選定や加工方法、設計条件、構成法などを比較検討し、折り畳まれた状態から走行可能な状態までの、インフレータブルホイールの展開方法を評価します。

2012年度卒業研究]
研究テーマ:
紙漉技術を応用したインフレータブルホイールの構成法および走行性能の評価

紙漉技術を応用した軽量なインフレータブル式のホイールを目指します。このホイールでは、使用中に内圧が低下しても膜材料自体の剛性により走行可能なことが特徴です。また、できるかぎりの軽量化を実現しながら、必要最低限の強度をもたせることを条件に、これらを満たす構成法を検討していきます。またその設計条件を明確化させることを目標とします。最終的には走行実験を行い、実際の走行性能や強度、剛性についても評価していきます。