5. 火星探査プレーン用のインフレータブルウィングに関する研究

火星を飛ぶ飛行機のウィングは、そこに持っていくために小さく折り畳めるようにする必要があります。また、地上用途でも無人飛行機などで、このようなウィングの使い道があります。本研究では、小さく折り畳めるウィングの試作を通して、構成法を解明して行きます。インフレータブルウィングは翼断面や翼全体の形状を剛体翼のように成形することが困難です。そのため、製作の可能性・容易性を考慮した信頼性が高い成形方法の解明が重要です。そこで、適切な使用材料や接合方法について検討を行いながら試作を行います。翼形状は飛行性能にも影響が出るため、風洞実験で評価することが重要となります。実機で必要になる性能から翼の設計を行い、スケールモデルによる風洞実験で翼の性能を評価します。インフレータブルウィングを有する飛行体は、飛行前に折り畳まれたウィングを展開し、飛行に必要な状態に維持する必要があります。展開は、できる限り短い時間で行うことが必要です。そこで、類似の技術を用いた製品などを調査し、その応用を検討することにより、展開から飛行に至る過程を考慮したウィングの試作を行い、飛行実験におけるビデオ撮影をもとに飛行性能の評価を行います。

2012年度卒業研究]
研究テーマ:内圧の低下に伴う変形を少なくした翼を有するインフレータブルウイング機の飛行実証

飛行機の翼は必要な揚力を発生させるための形状と、空力に耐える強度が要求されます。しかし、インフレータブル構造を用いて翼を形成した場合、内圧が低下すると曲げ強度が著しく低下する傾向があります。そこで、このような特性を持つインフレータブル構造が有効に適用できるような翼型や機体構成を検討し、内圧の低下による翼形状の変化や翼の強度の低下が防げる構成法を検討します。また、この翼を使ったグライダーの試作および飛行実験では機体の軽量化や観測のための低速度での飛行を重視するとともに、飛行距離を長くするために電動グライダー化も進めたいと考えています。