藤田彩花(大学院 工学研究科 機械工学専攻(航空宇宙学領域)2年) 
研究テーマ:デバイス付きブーム展開型膜構造物の形状とSRPトルクの評価

近年、軽量かつ収納性に優れており、太陽の光圧によって推進力を得ることができることから、ソーラーセイルが注目されている。ソーラーセイルに代表される展開型膜構造物は、太陽電池や通信アンテナなどのデバイスを装着することで、宇宙機の高機能化に繋がり、様々なミッションが可能となることが期待されている。その一方で、膜形状変化が起こりやすいという問題点が指摘されている。これは、デバイスの積層間における線膨張係数の違いにより生じる反りが主な原因とされている。形状変化が起こることで光圧による外乱トルクが生じ、宇宙機の姿勢や運動に影響を与えることがわかっている。

このことから本研究では、膜面にデバイスが貼付されている展開膜構造物の形状評価、および太陽光圧によるトルクの評価を行う。 評価を行う方法として、有限要素解析での膜形状予測と地上試験の二つの方法を用いる。有限要素解析ではデバイスが貼付された膜の無重力環境下での形状を明らかにする。また、その膜形状で発生する光圧トルクを数値解析により算出する。地上試験では、密度を供試体に合わせて調合した水溶液の浮力で重力補償を行い、軌道上での膜形状を再現し、その時の形状をカメラで計測する実験を行う。この実験結果と解析結果を比較して膜形状変化の妥当性を示し、デバイスが貼付された展開膜構造物の形状とSRPトルクを評価する。