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2017年12月8日にJAXA宇宙科学研究所で開催された第33回宇宙構造・材料シンポジウムで、研究室の大学院生が発表を行いました。

2017年12月8日にJAXA相模原キャンパスにて開催された第33回宇宙構造・材料シンポジウムで,「キネマティックカップリングのV溝傾斜角度が位置決め精度におよぼす影響」と題して研究発表を行いました.宇宙構造・材料シンポジウムはその名のとおり宇宙構造物の構造と材料に関する研究発表が行われるシンポジウムです.私の研究はその中でも宇宙構造物の構造技術に関する内容です.キネマティックカップリンは簡単に説明すると球と平面,球とV溝,球と円錐溝といった組み合わせを利用して部品間の剛体6自由度を拘束する技術です.構造が簡単であるため信頼性が高く,ある程度ラッチが自由に動くことができるため,熱応力にも強いという利点があります.宇宙構造物ではASTRO-Hをはじめとする人工衛星の光学部品の位置決めが主な用例であり,宇宙構造物以外では半導体製造装置においてウェハを輸送するロードポートの位置決め等にキネマティックカップリングが用いられています.
今回のシンポジウムに向けて今年の4月より研究を行って参りましたが,その取り組みの中で,工作機械を用いた材料の加工や,自作のローパスフィルターを用いた実験データのノイズ除去を経験し,新たな知識を得ることができました.実験を進めていく中では理論式の理解や実験方法の構築をとおして研究をより効率的に進めていくための情報整理や,質問の意図が伝わりやすくかつ自分の望んだ情報が得られるような質問の仕方を学びました.
自身にとって初めての学会発表ということで発表本番は非常に緊張しましたが,なんとか気分を落ち着かせて聴講者の方にご理解いただけるようなプレゼンテーションを心掛けました.発表を終えてからは,質疑応答で頂いた質問や指摘を吟味して発表内容を修正し,翌日の大学での修士研究の中間発表をよりよいものとすることができました.ご指導いただいた先生方やゼミの仲間達をはじめ多くの方々のご協力のもとに研究を進め,その中で多くの貴重な知見を得て,自分自身の成長を実感できた8ヶ月でした. (修士課程1年 小川雄樹)